やけくそアップ→改め「花嵐」④/⑤ [捏造◆作文]
大変だぁ、1回じゃ終わりませんでした!!(>_<) 未完つづくです! ごめんっ
何だか、前回ラストより煮詰まって、ピンチ度が増したような気がスル~~~
何やってんだ、合田さん! 手際が悪いぞ!!(濡れ衣にも程がある…)
グラニュー糖砂漠の手前には、氷砂糖の断崖絶壁があったのね(。・・。)
さあ、頑張って合田さん、あともうひと登攀
今度こそ、あと1回の予定です!(^人^;)
***************************************
先刻までと一転して、奇妙なほど大人しく黙って己の下に収まっている雄一郎が、実は密かに己に見蕩れているのを知ってか知らずか。祐介は、ネジが切れたかのように動きを止めた。
腕の中の義弟の顔を食い入るように見詰めたきり、ただ荒い呼吸に肩を揺らしている。その眉間にくっきりと刻まれた皺があまりに似合って、端正なばかりの彫像に表情を与えるため、最後の仕上げに加えられた、彫刻家会心の一彫りのようだ。
そんな義兄の顔を見上げている雄一郎を、またしても不謹慎な笑いの発作が襲った。
――悩んどる悩んどる。ここまで来ると、もう趣味やな。ったく、面倒くさいやっちゃ。
甘やかすような苦笑を頬に刷き、両腕を伸ばして義兄の肩に掛ける。重みをかけて今度は優しく引き寄せざま、首に巻き付けて拘束する。
――ほら、苦悩するのに忙しくて、ろくに抵抗も出来んやろが。
微笑む唇を、引き結ばれた義兄の唇に押し当てる。
最初は触れ合わせるだけの中学生のようなキス。ちょっと悪戯を仕掛けて唇の合わせ目を舌で辿る、高校生のキス。一方的に出来るのはここまで。大人のキスには相手の共犯が要る。
ところが、雄一郎の企みは本当にここで頓挫してしまった。微笑しながら始めた口づけに、祐介が一向に乗ってこない。
撓められた腕は、雄一郎の顔を挟んで両肘を床に突いたまま、手のひらも腕も、指一本彼の身に触れてこない。
次第に熱のこもる義弟の唇にも一切反応せず、苦しげに閉じられた瞼に隠し、見返す視線すら寄越そうとしない。
――………っ!
ひとりで息を弾ませている惨めさにも関わらず、雄一郎は怒りよりもやるせなさに囚われていた。
――なんであんたは自分だけで何もかも抱え込もうとする。なぜ、俺に何も見せようとしない!
桜吹雪の舞う中、夜更けの街路をこの部屋へ急ぐ途上、雄一郎は思っていた。“俺は今、浮かれている”
だが、我先に散り急ぎ、命の際の最期の舞いに逆上せ上がる桜どもと同じ。浮き立つ気分は、凍るような不穏の気配と常に表裏一体だった。
クリスマスイブの夜、己の全力を賭したわがままで、切れようとしていた義兄との縁を、力尽くで再び結び直した。そうして関係が変じて以降、あの隠微にして穏やかだった“義兄弟ごっこ”の日々は、あらゆる意味で終わりを告げた。
双方ともに未経験であり、世に通例も定型もないだけに、何一つ予期することも出来ない、手探りの未来。
それは、喜代子との新婚時代、今よりずっと若かった自分が一心に味わったよりも凄まじいまでに甘ったるい一方で、刹那のような危ぶむ思い、薄氷の緊張感が背中を去ることがない。
付き合いが20年に近づく中で、今回初めて新たな面を知ったことになる祐介は、そうなってなお、この上なく優しい。会えばいつも彼は満たされた顔で笑うのに、雄一郎の中には故もない焦燥感ばかりが募る。穏やかに微笑っている祐介を見ると、悲しみが密やかに胸を塞ぐ。
若かった時分には夢にも知らなかった、複雑なだけに狂おしく、身を切るように切ない、祐介との初めての恋。
甘さと苦さと、振幅の両極に引き裂かれながら、雄一郎もまた、イブ以後の日々を考え続けていた。
―――なぜ?
俺はまだ赦されていないのか。
祐介は、自分自身を赦していないのか。俺と安住していない、する気になれないのか。
なぜ、俺は安心出来ない。不安で堪らない?
――祐介が消えてしまいそうな、どこかへ行ってしまいそうな気がして堪らない。
俺の直感は、正しいのか…?
まだ溺れるのは早い。危険が迫っている。
祐介に?
―――俺たちに。
体を入れ替え、下敷きにした義兄の喉笛を緩く咬みながら、雄一郎は喘ぎに混ぜて心中に叫ぶ。
もうあんたは俺を要らんのか? 今夜この部屋に入ったばかりの時、口づけ一つであんなに感応し合った俺たちが、もうお終いなのか?
いいや。俺らはまだ、始めたばっかりや。
――そんなんは、俺が許さん。あんたにそれを、分からせてやる。
外界を拒絶するように背けている義兄の顔を睨み捨て、床の上に張り付けたその体を這い下がる。ベルトに手を掛け、引き開ける前に頬を押し当てると、確かな固さをもった質感が触れ、必ずしも彼の全てが無反応に徹し切れてはいないことを確かめた。
――当たり前や、検事かて生きとるんやから。見とれよ……
「よせ……っ!」
泡を食った声が降るが、もう遅い。弾かれたように身動ぎした義兄の上半身は、素早く引き出した屹立を雄一郎がするりと口に含むなり、脱力して倒れ込んだ。もちろん、雄一郎はこんなことをやらかすのは初めてだが、委細は漠としているくせに切迫度合いだけは痛切な危機感に急かされて、我に返ればことを始めた後だった。
とにかく、祐介を追い詰めたかった。様々なものに幾重にも縛られた、この賢しらなアホ男が痛々しくて見ていられない。
常識だか固定観念だか理性だか自責だか、ひょっとしたら神なんてものか。とにかくこの男を縛る全部から解き放ち、誰にも何にも邪魔されず、素のままの加納祐介に逢いたかった。
気持ちが遙か先を奔る雄一郎には、もはや未知など、怖れる対象でも進路を阻む障害でも何でもなかった。
確かこいつは、祐介には何回かやられたことがあった、な……。毎度わけが分からなくなってしまうので、後半戦の手順の一々は詳細には覚えていないのだが、見よう見まね、やられたことをやり返すのみ。
思ったより味はしないものなんやな……などと思いながら、気付けば没頭していた。唇で締め捕らえた弾力のある茎を舌で擦ると、乗り上げた体にびくりと力が入る。頂上の火口を舌先でつつけば、「あゥ…っ!」と切羽詰まった声が上がる。
手元のしかじかと、瞬時に返る相手の全身のレスポンスからの連想で、口の中のこれが“縮小サイズ版・祐介”という気がしてくる。そうなると、男の最も滑稽にして切実な急所部品に違いないものが、何だか可愛く思えてくるから不思議だ。
興が乗るに任せ、窄めた唇で扱き上げ扱き下ろし、顔ごと上下して思い切り攻めてやると、
「はぁ……あ……あァ――っ」とため息混じり、無力に泣きそうな声が零れる。
祐介の手放しの喘ぎ声を、内心驚きつつに初めて耳にしながら、息苦しさのためばかりでなく、雄一郎の目に涙が滲んだ。
バカ野郎………素直になりゃァなれるんじゃねぇか!
俺しか見てへんのに、どれだけ頑固で意地っ張りなんや、あんたってやつは。
ぎゅっと目を瞑ると、悪さをする手元に熱い雫がぱたぱたと滴り落ちた。
「ゆ、一郎、駄目だ――、駄目…っ!」
いつの間にか雄一郎の頭に絡まってきていた祐介の指が、ぎしりと髪を握りしめる。
「テっ、邪魔すんなっ」
せっかくサービスしてやっとんのに! おっと。これで仕舞いやないで、と。
切なげに息づくミニ祐介に、ポケットに用意のゴムを被せ、仕上げにちゅっ、とキスしてやる。もうちょっと待っとけよ。
いざ自分の支度の段となって、雄一郎は思わず苦笑した。
――なんや。ひとつも触っとらんのに、準備万端やないか。
しっかり硬度を備えながらずっと放置されていた、気の毒なミニ己の分泌物で、潤滑剤は事足りそうだ。
乗っかってやるのも初めてだが、何とかなるやろ。男と付き合うなんざァ初めてやから、この歳にして何でもかんでも初めて尽くしだァな。もう一々驚かんわ。
色気も情緒もヘッタクレもあったものではない。純情熾烈な熱血漢、かつ典雅なロマンチストたる祐介にはその内心は聞こえないのがせめてもの、万事実際的な雄一郎である。なればこそ、自然かつ万全に補完し合う、無二なる一対ではあるのだが。
雄一郎の果敢にして熱意をこめた予想外の攻めに、茫茫と放心していた祐介だったが、我が身に重みが掛かってくるに至り、忘我の境から飛び戻った。
「な…にをしている……!」
「まだしてない。今からや」
出来るかどうか、試すとこやけどな……と呑気な声が返るが、真っ青に竦み上がった祐介には聞こえるものではない。
「や、めろ……、雄一郎」
「心配ないって。あんたは寝てれば――」
「やめてくれっ!」
義兄の必死の叫びなど、山以外で聞くのは初めてだった。思わず目を瞠り、雄一郎も動きを止めた。
「祐介?」
何かまた思い詰めているらしい義兄を、まずは宥めようと、手探りしながら声を掛ける。が、握り取った手指の冷たさにぞっとして、改めてその目を覗き込んだ。
「祐介……どうしたんや。気が乗らんのか?」
雄一郎のその手を振り払い、義兄は床の上を後ずさって懸命に身を退こうとする。雄一郎が這って追うと、さらに下がる。ソファに背が当たると、身を仰け反らせ、背けた顔を両手で覆った。
「やめろ………、お前はそんなことをしてはいけない。俺は、そんなことをお前にさせたいのではないんだ……」
苦しげに総身を震わせ、義兄の声が絞り出されていた。
「愛している、雄一郎。済まない、俺のために」
「祐介、何を―――」
骨張った手が蒼白な面を掴み絞める、その指の間から、煮えるような涙が流れ伝った。その行方を見守るだけで雄一郎の胸にも激痛が走り、何も言葉が続かない。
「愛している………お前が何よりも大切だ。だから――そうほざいてはお前を抱いて苦しめる、俺は俺が許せない………!」
雄一郎を、了知の電流が貫いた。
――これが危機だ。
祐介が、去ろうとしている。
◆「やけくそ⑤/⑤」へつづく◆
***************************************
はい、あとはどっちが上か 違った(^m^;) 我を通すか!の勝負です。
何だか、合田さんが果敢に攻めると、攻守逆転の下克上みたいですねぇ
ウチのご両人は元々ニュートラルで、どっちでも行けそうですが(^_^;)
基本は加×合、それは動かないんですけど……
二人が幸せならどっちでもいいんです……
今回、合田さんがいつにも増してベランメエで恐縮です
ほんとはもっとずっと上品な方なのに! げこがベランメエなのがいけない!!
関西弁(怪しい…)しかもベランメエ。校正してて段々訳が分からなく!!(>_<)
あまりに目に余ったらご指摘ください、善処いたします(^人^;)
何だか、前回ラストより煮詰まって、ピンチ度が増したような気がスル~~~
何やってんだ、合田さん! 手際が悪いぞ!!(濡れ衣にも程がある…)
グラニュー糖砂漠の手前には、氷砂糖の断崖絶壁があったのね(。・・。)
さあ、頑張って合田さん、あともうひと登攀
今度こそ、あと1回の予定です!(^人^;)
***************************************
先刻までと一転して、奇妙なほど大人しく黙って己の下に収まっている雄一郎が、実は密かに己に見蕩れているのを知ってか知らずか。祐介は、ネジが切れたかのように動きを止めた。
腕の中の義弟の顔を食い入るように見詰めたきり、ただ荒い呼吸に肩を揺らしている。その眉間にくっきりと刻まれた皺があまりに似合って、端正なばかりの彫像に表情を与えるため、最後の仕上げに加えられた、彫刻家会心の一彫りのようだ。
そんな義兄の顔を見上げている雄一郎を、またしても不謹慎な笑いの発作が襲った。
――悩んどる悩んどる。ここまで来ると、もう趣味やな。ったく、面倒くさいやっちゃ。
甘やかすような苦笑を頬に刷き、両腕を伸ばして義兄の肩に掛ける。重みをかけて今度は優しく引き寄せざま、首に巻き付けて拘束する。
――ほら、苦悩するのに忙しくて、ろくに抵抗も出来んやろが。
微笑む唇を、引き結ばれた義兄の唇に押し当てる。
最初は触れ合わせるだけの中学生のようなキス。ちょっと悪戯を仕掛けて唇の合わせ目を舌で辿る、高校生のキス。一方的に出来るのはここまで。大人のキスには相手の共犯が要る。
ところが、雄一郎の企みは本当にここで頓挫してしまった。微笑しながら始めた口づけに、祐介が一向に乗ってこない。
撓められた腕は、雄一郎の顔を挟んで両肘を床に突いたまま、手のひらも腕も、指一本彼の身に触れてこない。
次第に熱のこもる義弟の唇にも一切反応せず、苦しげに閉じられた瞼に隠し、見返す視線すら寄越そうとしない。
――………っ!
ひとりで息を弾ませている惨めさにも関わらず、雄一郎は怒りよりもやるせなさに囚われていた。
――なんであんたは自分だけで何もかも抱え込もうとする。なぜ、俺に何も見せようとしない!
桜吹雪の舞う中、夜更けの街路をこの部屋へ急ぐ途上、雄一郎は思っていた。“俺は今、浮かれている”
だが、我先に散り急ぎ、命の際の最期の舞いに逆上せ上がる桜どもと同じ。浮き立つ気分は、凍るような不穏の気配と常に表裏一体だった。
クリスマスイブの夜、己の全力を賭したわがままで、切れようとしていた義兄との縁を、力尽くで再び結び直した。そうして関係が変じて以降、あの隠微にして穏やかだった“義兄弟ごっこ”の日々は、あらゆる意味で終わりを告げた。
双方ともに未経験であり、世に通例も定型もないだけに、何一つ予期することも出来ない、手探りの未来。
それは、喜代子との新婚時代、今よりずっと若かった自分が一心に味わったよりも凄まじいまでに甘ったるい一方で、刹那のような危ぶむ思い、薄氷の緊張感が背中を去ることがない。
付き合いが20年に近づく中で、今回初めて新たな面を知ったことになる祐介は、そうなってなお、この上なく優しい。会えばいつも彼は満たされた顔で笑うのに、雄一郎の中には故もない焦燥感ばかりが募る。穏やかに微笑っている祐介を見ると、悲しみが密やかに胸を塞ぐ。
若かった時分には夢にも知らなかった、複雑なだけに狂おしく、身を切るように切ない、祐介との初めての恋。
甘さと苦さと、振幅の両極に引き裂かれながら、雄一郎もまた、イブ以後の日々を考え続けていた。
―――なぜ?
俺はまだ赦されていないのか。
祐介は、自分自身を赦していないのか。俺と安住していない、する気になれないのか。
なぜ、俺は安心出来ない。不安で堪らない?
――祐介が消えてしまいそうな、どこかへ行ってしまいそうな気がして堪らない。
俺の直感は、正しいのか…?
まだ溺れるのは早い。危険が迫っている。
祐介に?
―――俺たちに。
体を入れ替え、下敷きにした義兄の喉笛を緩く咬みながら、雄一郎は喘ぎに混ぜて心中に叫ぶ。
もうあんたは俺を要らんのか? 今夜この部屋に入ったばかりの時、口づけ一つであんなに感応し合った俺たちが、もうお終いなのか?
いいや。俺らはまだ、始めたばっかりや。
――そんなんは、俺が許さん。あんたにそれを、分からせてやる。
外界を拒絶するように背けている義兄の顔を睨み捨て、床の上に張り付けたその体を這い下がる。ベルトに手を掛け、引き開ける前に頬を押し当てると、確かな固さをもった質感が触れ、必ずしも彼の全てが無反応に徹し切れてはいないことを確かめた。
――当たり前や、検事かて生きとるんやから。見とれよ……
「よせ……っ!」
泡を食った声が降るが、もう遅い。弾かれたように身動ぎした義兄の上半身は、素早く引き出した屹立を雄一郎がするりと口に含むなり、脱力して倒れ込んだ。もちろん、雄一郎はこんなことをやらかすのは初めてだが、委細は漠としているくせに切迫度合いだけは痛切な危機感に急かされて、我に返ればことを始めた後だった。
とにかく、祐介を追い詰めたかった。様々なものに幾重にも縛られた、この賢しらなアホ男が痛々しくて見ていられない。
常識だか固定観念だか理性だか自責だか、ひょっとしたら神なんてものか。とにかくこの男を縛る全部から解き放ち、誰にも何にも邪魔されず、素のままの加納祐介に逢いたかった。
気持ちが遙か先を奔る雄一郎には、もはや未知など、怖れる対象でも進路を阻む障害でも何でもなかった。
確かこいつは、祐介には何回かやられたことがあった、な……。毎度わけが分からなくなってしまうので、後半戦の手順の一々は詳細には覚えていないのだが、見よう見まね、やられたことをやり返すのみ。
思ったより味はしないものなんやな……などと思いながら、気付けば没頭していた。唇で締め捕らえた弾力のある茎を舌で擦ると、乗り上げた体にびくりと力が入る。頂上の火口を舌先でつつけば、「あゥ…っ!」と切羽詰まった声が上がる。
手元のしかじかと、瞬時に返る相手の全身のレスポンスからの連想で、口の中のこれが“縮小サイズ版・祐介”という気がしてくる。そうなると、男の最も滑稽にして切実な急所部品に違いないものが、何だか可愛く思えてくるから不思議だ。
興が乗るに任せ、窄めた唇で扱き上げ扱き下ろし、顔ごと上下して思い切り攻めてやると、
「はぁ……あ……あァ――っ」とため息混じり、無力に泣きそうな声が零れる。
祐介の手放しの喘ぎ声を、内心驚きつつに初めて耳にしながら、息苦しさのためばかりでなく、雄一郎の目に涙が滲んだ。
バカ野郎………素直になりゃァなれるんじゃねぇか!
俺しか見てへんのに、どれだけ頑固で意地っ張りなんや、あんたってやつは。
ぎゅっと目を瞑ると、悪さをする手元に熱い雫がぱたぱたと滴り落ちた。
「ゆ、一郎、駄目だ――、駄目…っ!」
いつの間にか雄一郎の頭に絡まってきていた祐介の指が、ぎしりと髪を握りしめる。
「テっ、邪魔すんなっ」
せっかくサービスしてやっとんのに! おっと。これで仕舞いやないで、と。
切なげに息づくミニ祐介に、ポケットに用意のゴムを被せ、仕上げにちゅっ、とキスしてやる。もうちょっと待っとけよ。
いざ自分の支度の段となって、雄一郎は思わず苦笑した。
――なんや。ひとつも触っとらんのに、準備万端やないか。
しっかり硬度を備えながらずっと放置されていた、気の毒なミニ己の分泌物で、潤滑剤は事足りそうだ。
乗っかってやるのも初めてだが、何とかなるやろ。男と付き合うなんざァ初めてやから、この歳にして何でもかんでも初めて尽くしだァな。もう一々驚かんわ。
色気も情緒もヘッタクレもあったものではない。純情熾烈な熱血漢、かつ典雅なロマンチストたる祐介にはその内心は聞こえないのがせめてもの、万事実際的な雄一郎である。なればこそ、自然かつ万全に補完し合う、無二なる一対ではあるのだが。
雄一郎の果敢にして熱意をこめた予想外の攻めに、茫茫と放心していた祐介だったが、我が身に重みが掛かってくるに至り、忘我の境から飛び戻った。
「な…にをしている……!」
「まだしてない。今からや」
出来るかどうか、試すとこやけどな……と呑気な声が返るが、真っ青に竦み上がった祐介には聞こえるものではない。
「や、めろ……、雄一郎」
「心配ないって。あんたは寝てれば――」
「やめてくれっ!」
義兄の必死の叫びなど、山以外で聞くのは初めてだった。思わず目を瞠り、雄一郎も動きを止めた。
「祐介?」
何かまた思い詰めているらしい義兄を、まずは宥めようと、手探りしながら声を掛ける。が、握り取った手指の冷たさにぞっとして、改めてその目を覗き込んだ。
「祐介……どうしたんや。気が乗らんのか?」
雄一郎のその手を振り払い、義兄は床の上を後ずさって懸命に身を退こうとする。雄一郎が這って追うと、さらに下がる。ソファに背が当たると、身を仰け反らせ、背けた顔を両手で覆った。
「やめろ………、お前はそんなことをしてはいけない。俺は、そんなことをお前にさせたいのではないんだ……」
苦しげに総身を震わせ、義兄の声が絞り出されていた。
「愛している、雄一郎。済まない、俺のために」
「祐介、何を―――」
骨張った手が蒼白な面を掴み絞める、その指の間から、煮えるような涙が流れ伝った。その行方を見守るだけで雄一郎の胸にも激痛が走り、何も言葉が続かない。
「愛している………お前が何よりも大切だ。だから――そうほざいてはお前を抱いて苦しめる、俺は俺が許せない………!」
雄一郎を、了知の電流が貫いた。
――これが危機だ。
祐介が、去ろうとしている。
◆「やけくそ⑤/⑤」へつづく◆
***************************************
はい、あとはどっちが
何だか、合田さんが果敢に攻めると、攻守逆転の下克上みたいですねぇ
ウチのご両人は元々ニュートラルで、どっちでも行けそうですが(^_^;)
基本は加×合、それは動かないんですけど……
二人が幸せならどっちでもいいんです……
今回、合田さんがいつにも増してベランメエで恐縮です
ほんとはもっとずっと上品な方なのに! げこがベランメエなのがいけない!!
関西弁(怪しい…)しかもベランメエ。校正してて段々訳が分からなく!!(>_<)
あまりに目に余ったらご指摘ください、善処いたします(^人^;)
2011-11-26 03:26
nice!(0)
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0
コメントの受付は締め切りました