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義兄弟の《二人称》が好き…v [読書日記]

同期で同い年の親友。
でも、付き合い半ばで喜代子さんを挟んで派生した“上下関係”で改めて結ばれた義兄弟が、
それぞれの思うところを存分に含みながら呼び合う《二人称》には、前々から萌えまくりです(>_<)

そもそも、自分の学生時代を振り返れば、男子ドモ、能もなくセカンドネームを呼び捨てるか、
渾名とも言えない短縮形(山田⇒山ちゃんとか)を節操もなく多用してるダケでしたよぉー。
むしろ、二人称なんてかえって改まった感じがして、照れ臭くて使わないですよね。
(まーね! 義兄弟みたいな麗しくも瑞々しい、目映いばかりの文学の香り、隠微なる親密さ、
なんて取り合わせの国宝世界遺産は、何処探しても生息してませんでしたがねっっ!!!)

同い年なのに“あんた”。しかも、義兄をそう呼んでる義弟ってば、究極のツンデレ刑事。
綺麗なコワモテぶら下げて、世界で唯一人、義兄だけに呼ばわる電話口での名乗りが、
一言、「雄一郎」ですよ~! こ、この“甘えた”最終兵器が!!!
初読した時は脳貧血のあまり、本のページ紙が蛍光黄緑のまだらに見えましたよっ(^"^;)

◆ ◆ ◆
しかもそれに『照柿』文庫版では更なる萌えネタが投下[爆弾]
水戸の加納家に“帰郷”した時の合田さんの脳内ぶつぶつが、恐ろしく良くて忘れ難い~~~!

ともにまだ十八、九だったころから、何につけ数ヶ月の年長や、教養や、家柄という社会的基盤の違いを理由に、雄一郎の庇護者を任じてきて、いまやそれが習い性になった永遠のお殿様。兄上様。雄一郎は一秒考え、自分がハガキの返事を先伸ばしにしてきたほんとうの理由はこれだなと思った。しかしまた、その一秒後には従順な弟の役回りに甘んじている自分がおり、他人には見せられない隠微な兄弟ごっこをやりたかったのは自分も同罪だと認めると、まずは苦笑いを噴き出させるほかはなかった。

こんなくだりは、単行本には欠片もなかったですからねぇ。私が今読んでるの、原作だよな!?
まさか俺の妄想が口からプリントアウトされてるんじゃねぇよな!!? と疑いましたわ。
それにしても「他人には見せられない」「隠微な兄弟ごっこ」って……、合田さん、
ご自分でも、傍目には怪しい、奇妙なことしてるって自覚、一応あったんですね?(^▽^;)

この後に続く所では、合田さんが、自分も元義兄も喜代子を口実に使ってる、毎回肝心な事は
ペンディングを重ねるばかり、兄弟ごっこだけのために16年間も一人の男と付き合い続ける訳がない
……とすっごい突っ込んだこと考えてまして、
そんだけ分かってて更にあと2年、気ぃ付かん顔で待たせたんかいっ!!!!!
と、半田でなくともいっぺん刺殺したくなりますね、このツンデレ刑事!

おっとっと、二人称の話から脱線し過ぎだ(^_^;) でももう止まらん! 

単行本のしっとり静謐な里帰りが、非常に義兄弟の故郷の理想そのものでしたし、
義兄にイタズラする合田さんの「邪悪の手」に凄まじく(ぐはぁっ!!!と鼻血ボタボタ級で^"^;)
萌えましたので、未練たらたらだったんですが。
他にも、合田さんの「前世紀のロマン主義に毒された夢想家」って義兄評とか、
義兄の若白髪とか、「東京へ帰りとうない」って可愛すぎる愚痴とか、地歩の話とか、
「意志のお化け」って義兄評もここだ。
極上の萌えポイントだらけだったのに、全部サッパリすっきり文庫じゃ削除ですもの。

文庫では、いつの間にか加納家が改宗しとるわ、ご母堂までお墓に入られとるわ、
(総領息子が気侭な独身生活を続けるには、やっぱりお邪魔だったんでしょうか!?T_T)
旧家の縁側でバーベキューか!?ってワイルドな晩餐だわ。
とどめには、あの背徳感も濃厚に官能的な「邪悪の手」が削除されとる!!!(゜Д゜)
主客転倒で義兄がイタズラ仕掛けとるし、なんじゃアその手相見なんて見え透いた
合コンみたいな口実は……[たらーっ(汗)]

色々と、なまなかには受け入れがたい改変点多々ではあったのですが、
唯一、合田さんの密やかに反抗的な内言には、その場で床に倒れ伏すくらい
萌え滾りましたぁ~(ハァハァハァ…)
引用箇所のこれって、私も大好物な下克上の芳香が芬々ってものじゃないですか?

こ、この合田さん、凄く男っぽくて、めっちゃイイ!!! 絶対おとなしく抱かれてない。
いつか義兄の手に噛み付いてやる日を夢想して、自分にはその力も資格もあるのを
ちゃんと知っていて、でも、今日は敢えて共犯者の確信犯で服従して見せる義弟。
片や、じっと撫でられるに任せた頭の中で潜めた怒りと反抗を飼う、そんな義弟の
仮初めの服従を知りながら、自分を咬み殺す力のある彼に安穏と背中を任せる義兄。
……殺されても全然構わないのね、アナタ(^_^;)

そんな義弟の用いる“あんた”には、それこそ「隠微」な香りが濃厚すぎて、
無造作に連発されてる一々に、クラクラと酔っ払いますぅ~~(下戸だけど^"^;)

◆ ◆ ◆
それから義兄の“君”“お前”がまた凄艶なる隠微の極みで。

普段は平坦かつ涼やかに「君」と呼んで、普通に親密な爽やか同期生って風の義兄が、
いきなり!突如すらりと「お前」って兄ちゃんヅラするのが、めっちゃ萌えるんです。
庇護者というか、所有者というか。これって所有格だろ、アンタだけの特殊用法で!

ゼッタイ今の「お前」ってそれ! 声のトーンが一段下がったろ!! 
背筋と腰骨にズズンと来る絶妙な周波数の、腰砕けの低音で甘ったるさの極みの
雄一郎only仕様義兄ヴォイスに変換したろ!!! と突っ込みたくなる。

でなくとも、全部の「お前」の前には「俺の」か「俺だけの」って定冠詞が着いてる!
私にはそれが見える! しかも所によっては見えない[黒ハート]まで着いてる!!

……という(被害)妄想で、わたくしは捏造の際、すべからく「お前」って二人称を
用いております。
ああ……、なんてやんらしいんだ義兄弟……_| ̄|○

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にきーた

あの電話口の「雄一郎」には身悶えする!

この世界の他の誰にも決してこんな名乗り方はしない、義兄だけが
聞ける一人称。
(自分の名前言っただけでこれだけ萌えられるって!どんだけ高燃費
なの、タカムラーw)

この義兄弟に関しては三人称もイケますね。
レディ・ジョーカーで、義兄が根来さんに雄一郎を指して「あれ」と
呼ぶのがすごい好きなんです(〃'▽'〃)
心を許した相手にだけちらっと見せる、親しさアピールですよねー。
まぁ義兄が雄一郎を呼ぶ時の名称がなんであれ、その前には所有格が
見えてしまうのが我らの腐った能力なのでしょうけど。

あの聖職者の如き義兄が見せる、根来さん言うところの
「人を所有し、庇護する立場に立ちたい男の本能」ですよ!
もう堪らない~。

「兄弟ごっこ」って具体的には一体どんな…はぁはぁ…あ、ちょっと
不整脈になってきました。


ちょっと落着こう自分w
えー、実は斜め読みで読んだつもりになっていた「太陽を曳く馬」に
今日から気合を入れて取り掛かりました。
人様のブログでこんなこと報告するのはアレなんですが、きちんと
読み通す為にはどこかで宣言しておかないと←酷いね、ごめんなさい。

書いてないことまできちんと読み取るために、頑張ります!


by にきーた (2012-01-18 23:22) 

げこ

にきーた様♪

きっとあの野郎、ユウイチロウじゃなくて、ちょっと舌足らずに「ゆういちろv」って
こうなんですよーーーーっ!!!!(`Д´) ぜいぜいぜい…orz
……はっ、アタシったら、合田さんをアノヤロウ呼ばわりしてしまったわ…

世界に冠たる高燃費のタカムラーは、単語1つで月まで飛んでいきますが、
そのためには行間まで舐めるように、絨毯爆撃で草1本残さず読み込むから
疲れますよね~。他のモン全然読めないし!!
つか、単に全文読み通すだけで激烈に疲れるぞ~~古典の原典かっつーの!(爆)
私も「馬」、アマゾンでちゃんと揃えてはあるんですが……
そういえば暖かくなったら中央図書館にも行かないと!(^皿^;)
励まし合って、高峰に登りましょう! 私も後に続きます~(>_<)

根来さん、LJでは城山さんと双璧の美味しい脇キャラですよね!
合田さん+城山社長、義兄+根来さん、で起きる化学反応がすっごく面白いv
義兄弟同士では見られない、珍しいけど、ある意味とても突っ込んだ素顔が見える。
義兄の「あれ」もそうだし(アレ……正に所有格!)
文学にかぶれまくった根来さんが、凄まじい観察力で義兄を描写してくれると
感謝状&金一封贈呈したいくらい、美味しい表現がゾロゾロと。
本当に惜しい方を亡くしました……(・_・、) マジ泣きましたけどね。

「男の本能」って! そうですよね!!
私ったら、「そうよね、男ってすぐ所有したがるわ」ってスルーしてました。マヌケが!
★あ★の★義兄が【男の本能】を発揮するなんて、強烈な違和感もつべきところじゃん!
おお~~~~、目ウロコざます(°°) これだから再読やめられない。

兄弟ごっこ、合田さんは脳裏に加納さんを「義兄」って捉えて把握するだけで
「兄弟ごっこしてる」って思ってるでしょうねぇ。…あやつも高燃費(^_^;)
だって、本人に対しては断じて「義兄さん」って呼ばないもんね!
圧倒的に「あんた」で、超絶レアに(必殺!おねだりモードで)「祐介」でしょ。
お~~、意地になっとる、意地になっとる、と微笑ましく読んでますが(*^m^*)

合い鍵渡してもいいんだ、家を行き来してもいいんだ、おかしくないんだ!
シャツにアイロン掛けて貰っても、ご飯作って貰っても、合法的なんだーー!
って世間に対して思ってる時、「また兄弟ごっこしてる…」って疚しいんでしょうねぇ。
ぜんぜん、病気の自覚あるんじゃん! 
いいよぉ、二人っきりでドライブデートしても、温泉旅行しても!
死が二人を分かつ時まで、互いに互いを見取ってろい!!!! くっそぉ~(>_<)

……と、毎度たのしく錯乱して終わる(^_^;)
いつも楽しい萌え談義、相手してくださってありがとう様ですv
にきーた様のツッコミ、いつもながら絶妙ですわ~♪

by げこ (2012-01-19 01:24) 

りく

このシーン、義弟の面従腹背甚だしいんですが、その後
義兄に返す刀で「やるならうまくやれ」とばっさり斬られて、
わたし、笑ってしまいました。

こんばんは、げこさん。
松も取れてからの新年の挨拶、虚礼で申し訳ないのですが
今年もよろしくお願いします。
湖北は、今までのものと違った風味でしたが、美味しゅうございました。

さて、義兄弟の二人称ですが
祐介は、表面上見ると公を装う場面では「君」
個人的な場面では「お前」てな感じに使い分けてるような気がします
が、でもどうなんでしょうね~。
個人的な生活がほとんどない者同士だからこそ、
なにやらこの使い分けが余計に怪しく思われるわけで(笑)

ちなみにわたし、個人的には二人の手紙を偽装していたときは
「超萌え~~」でした。←いったい何の告白か…。
いや、でも一回書いてみてください!
「なんなの、この人たち!!」と、お月様に向かって叫びたくなるくらい
いやらすぃです。
by りく (2012-01-19 22:23) 

げこ

りく様v(^人^@) 

拙く見苦しいものだらけ、思いばっかり先行して貼りまくりのブログではございますが、
本年もどうぞよろしく、伏してお願い奉ります~~!(o_ _)o
りく様に見て頂けてるんだぁ、と思うと、超ビビりつつ、でもぎゅっと気が引き締まります。

うひゃあああ~(>_<) 湖北ネタはもう、全然原作の読み込みが足りてませんし、
バックグラウンド弱すぎの中での「うりゃっ!!」って勢いだけの、いつにも増して超ニセモノで
すっげ恥ずかしいです…… こんな40男いるかよ…こんな官憲いるかよ…orz
すみません、すみません、ドリーム暴走超特急にはブレーキが付いてない~(爆)

「やるならうまくやれ」は、義兄がブラック過ぎて、軟弱者の私は泣きそうでしたぁ(ノД`)
単行本の義兄はこの期に及んでまだ庇う気満々で、べったべたに甘かったですから
落差が烈しすぎて。(…単行本の方がいっそ、異常で不健全だったのか……?)
これを笑ってしまえるから、りく様の手になる合田さんは賢く凛々しく格好いいんだなぁ…(憧v)
ウチの軟弱ニセ義兄弟の背骨の弱さは、筆者の弱さ(頭の弱さもな!)そのものです(猛省)

君が公(を装う)、お前が私、って解釈も意味深ですね(^m^)
おお、たった今キサマ、心底では理性の手綱を放棄したな! 暴走寸前だなv
とか読みながらニヤニヤしちゃうかも。

手紙って、「小生」ですか!!!?(°°)
私、実は連中とそうも歳変わりませんが(学校群や共通一次なんて制度はたぶん一緒の世代)
でも小生なんて書簡作法なんか、どこでも習わんかったぞ~~!
普通にマンガ字で、電話でしゃべるのと全く変わらぬ口語で書き殴ってたわい。
あいつら、宇宙人~~~~(^皿^;)

りく様の偽装書簡は、とっても文学の香り高い、でも裏に含むものが重厚で
超萌え、非常に理解しますが、あちきしの乏しい国語能力では偽装、とても無理です~(^▽^;)
出来るものなら、そりゃ捏造やってみたいですけど! ああ、教養という分厚い壁よ!

俺ってば、ワイルドは「ドリアン・グレイ」、ジイドは「一粒の麦」しか読んでないし(不心得者)
うそつきの話はほんとに素敵だった……恍惚…/////(おっと凄まじい脱線だ…)

なるほど~~~、書いてらっしゃる間も、筆者本人が萌え萌えだったんですねv
読み手としても二重に楽しいです、そういった裏話をうかがえますと(^人^)

でも、「書いてみて」なんて唆して頂けて、凄く嬉しいですv
勉強して、挑戦したくなります。
ああ、なんて萌えること果てしのない義兄弟よ……!

またぜひおいで下さいませ。
良い歳して心臓ドッキンドッキンですが、いつでもお待ちしていますv(>_<)
by げこ (2012-01-19 23:05) 

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