SSブログ

キャンパス小景 [捏造◆作文]

うっひょ~、またワケ分からん物が唐突に降ってきました。
…ここのところの二人の大学時代ネタのおしゃべりに触発されたか?

でも、楽しい楽しい義兄弟版《♪神田川♪》(古っっ!!!)では全然なく!
(いや、それもいつかは捏造したいぞ! 見果てぬ夢パート…幾つ?^_^;)

第1期 愛の巣「八潮団地」よりずっと昔に存在していたかもしれない
してたらいいな、してたに違いない(超願望!)
第0期 愛の巣「大学近所アパート」まで辿り着くはるか以前に、
キャンパスの路上onlyで、わたしは沈没してしまいました。
ハタチの合田さんの、眩しすぎる皓歯が放つ清らかな光に灼かれて、
アスファルトに染みついた黒いシミになってしまいました……_| ̄|○ 犬のフ▲かよ[たらーっ(汗)]

ぴちぴちの合田さんを前にピクッとも腐れない、なんじゃこりゃー!!という異色(?)作です。
R-18どころか、いちゃいちゃのカケラすらない。なんじゃこりゃー!!!?
こ…、これは遙か大昔に忘れ去っていた、いわゆる一つの“健全”ってヤツか?(爆)

でも、書くのすっごい楽しかった![ぴかぴか(新しい)] あ~あ、ほんとに好きだ……合田さん。
***************************************



 年度始めの風物詩、サークルの新入生勧誘合戦もさすがに一段落し。元気なのは、ぼうぼうと凶暴に繁りだしたケヤキ若葉の蛍光キミドリばかりで、キャンパスの空気は呆けたように長閑だった。だがオレは、学内掲示板の前でどんよりと暗雲を背負い、一人惨めに立っていた。
 何度見直しても、鬼の教務課からの通達は変わらない。履修登録の提出期限は、今日を含めたわずか3日間――。
「くっそぉ、どこで無くしたんだ…」
 どうしようもない苛立ちに、力なく呻いた時だった。
「竹中!」
 あまり聞き覚えのない声に呼び掛けられた。振り向くと、バサバサと袴の裾を鳴らし、大股で歩み寄ってくる丈高い姿があった。剣道部?…に、知り合いはいないが。
「これ、お前のと違うか?」
「あぁーーーっ!!」
 道着姿の手にヒラヒラと示された紙切れを指差し、思わず叫んだ。書き込みとマークで埋め尽くされた、手擦れでヨレヨレの履修科目時間割表っ、オレの!
「ああ~っ、もっぺん全っっ部組み立て直しかと思った! 助かったぁ~~」
 引ったくったヨレヨレを抱きしめてへたり込みそうになったオレを見て、のっぽの剣士はにこりと笑った。綺麗に灼けた小麦色の顔に、メイク命の女子にも滅多に見ないような真っ白い歯が眩しく光を弾いた。
「そりゃ良かったな。じゃ」
「あっ、待って、あんた、ええっと――」
「…合田。覚えとらんのか」
「え? ………ああ!」
 普段は道着なんか着てないから(当たり前だ)ちょっと分からなかった。確かに、外国語で一緒の合田だった。並外れて長身なことと、関西アクセントなことぐらいしか印象はないが。
 大体がヤロウなんか注視してない上に、そもそも合田は大した無口で、テキストを朗読する以外の声なんざ聞いた覚えがない。そうだ、下手したら喋るの自体、初めてではなかろうか。と、今更気付く。
「あんた、忙しそうやからな。無理もない」
 一人で慌てるオレが可笑しいのか、くすりと笑いながら柔らかい関西弁が庇ってくれた。テレビで馴染みのがちゃがちゃ騒々しいお笑い連中の言葉と同じイントネーションとは思えない、低く落ち着いた声音に耳が惹き付けられる。愉快そうに細められた切れ長の目が艶やかで、遅蒔きながら、これはえらいイイ男を目の前にしているぞ、と認識を改めた。
 それにしても、……ハぁ? 忙しそう?
「水曜は一仕事終えてから来るだろう。そろそろだと思ってた」
 おっ――どろいた! こいつ、単なるクラスメイトの行動様式をいちいち覚えてんのか?
 目ン玉をひんむいたオレを、白目が蒼いような真っ黒い目を内心の笑いにキラキラさせて、合田が眺めている。そんなにオレの仰天ぶりが可笑しいか。
 いや、無口だからって、無表情や無関心やらとイコールとは限らないんだな。こいつ、凄い面白がりなんだ。証拠に、道着のままで駆けつけて来ておいて、いまだに突っ立ってオレを見物している。
 あっ…と、また気付いた。
 道着。剣道場は、国道を挟んだ東キャンパス、しかもその奥まった東端にある。ここは西キャンパスの“滑走路”と揶揄されるほどムダに長い構内アクセス道路のどん詰まり、広大な敷地のど真ん中。合田は実質、べらぼうにド広いキャンパスをほぼ横断して、わざわざ届けに来てくれたんだ。
 何て良いヤツだぁ――! 現金に感激しながら、また気付いた。最初に気が付いて当然の疑問に一瞬で頭が占領されて、非礼にも、オレは礼を言うより先に恩人を問い詰めた。
「名前なんか、書いてなかったよな。なんでオレのだって分かった?」
 ついに合田はくっくっと笑い出した。
「講義の選び方で経済なのはすぐ分かった。1,2年次の方が学部必修コマが多いからな」
 すらすらと答え始めたことで、オレの百面相を見ながら、合田がこっちの思考回路を逐一辿っていたことが察せられた。
 こいつは法学部だったか。頭数で幅を利かせる他学部よりも、小体ながらウチの名声を実質一身に担っている精鋭学部にウソはないなぁ、と感心する。
「なるべくオフ日を空けようとしているが、チョロい講義は選んでない。楽することだけ考えてる無精者じゃなく、苦学生だな、と推察した」
「苦学生かよ」
 親父世代みたいな懐かしの名称に苦笑いするが、
「俺もやから」
 あっぱれ爽やか、としか形容しようのない笑顔で、さらりと合田が言う。へえ。まるで良家の子息としか見えない、つるりと端正な品のいい顔をして。と、正直意外だったが。
 そうか――。改めて目を留めてみればこれだけ目立つ男が、不似合いに印象が薄いのは、合田のキャンパスでの滞空時間が少ないからだ。少ない…というより、無駄な動きがない。つまりは最低限なんだ。
 だらだらカフェテリアでダベっていたり、訳もなく芝生でとぐろを巻いてたり、あちこち知己をこさえては女を漁ったり、そういったありがちな無駄な動線が、合田には存在しない。
 全学部で一番勉強に追われるシビアな法科で、バイト三昧に明け暮れながら、道場で竹刀まで振ってるんじゃ、それはダラけてるヒマなどなかろう。
 だが、長身をいやが上にも引き立てるすっきりと伸びた背筋はいかにも清々としていて、ストレスや疲労や鬱屈や、そういった陰りはみじんも寄せ付けない若々しい骨太さを感じさせる。くっそう、憎たらしいくらいの好青年じゃねえか。
「とどめがこの染み。大食堂の万能出汁」
「貧乏学生ご用達……つか、訳あり以外は食いたくねぇよな」
「馴れれば平気や」
「そっかあ? 蕎麦とうどんとラーメン、全部同じ出汁だろ?」
「そやな、うどんだけは勘弁してほしな」
 声を揃えて大笑いになった。
 彼女どころか、周囲との深い付き合いも出来難い、厳しく淋しいキャンパスライフに実のところかなり凹んでいたオレは、思わぬ邂逅にすっかり嬉しくなっていた。
 学年が上がるにつれ、学部横断的な単位取得が相当自由に出来るのがウチの売りだから、今後はもっと合田と会う機会が増えるのは間違いない。苦労し通しの母親に早く楽させたい一心で、就職のことしか考えずに経済にしたが、こんな気持ちのいい奴がいるなら、もっと大学に深入りしてみたくなった。
 遙々届けて貰った気持ちばかりの礼に、缶コーヒーぐらい奢るぞ、と合田を誘おうとした時。
「雄一郎」
 朗々とした声がかかった。
「おう、祐介」
 軽く体を返した合田が、明るい声で応じた。相手を見て、うわっ…と内心におめく。か、加納祐介じゃねえか!
 俊英揃いの法科の中でも、十年に一度の綺羅星と2年次にして言わしめる、見た目からしてタダ者ならない才色兼備。父親が法曹界の重鎮だとかいう噂とともに入学して来て、そのプレッシャーに潰れぬだけでは済まさず、日々レコードを塗り替えてはお釣りを上乗せして撥ね返している、美貌に似合わぬ質実剛健。あまりに目映い七光り、アンド燦然と輝く己が光りに、全学遠巻きにして崇めつつ、用心深く関わらないようにしている……という。
 ――そうだ…。愚かなオレは、今ようやく全貌を思い出した。
 合田は、そんな加納と唯一人、四六時中べったり一緒の片割れだったんだぁ………。
 道理で傑物なわけだ! 地味にド派手な超絶イイ男なのも、すっかり理解できた。腑に落ちた。加納と並んで全く霞まない、ひがまない、腐らない、そんな凡人がおるもんか!
「履修票の提出、済ませたか?」
「まだや。あとは教務課へ持って行くだけになっとるが」
「良かった。法言語、文化論と歴史論、どっちを取る?」
 涼やかに交わされる親密な会話に、親しげに肩を並べる――こいつら、背丈までそっくり同じだよ…――別世界な二人が作り出す異空間が、何の変哲もない田園キャンパスの路上に忽然と出現した。いや、これは錯覚ではない。オレはすっごく弾かれる自分をありありと感知した。
 どうしよう……、このまま消えたら無礼が過ぎるだろうか。だが、若様とご学友の語らいを邪魔する無礼と、どちらの方が重罪だろうか。我知らずアホウな思考がふわふわと沸き出したが、
「竹中、お前も一緒に出し行くか?」
 ああ何ということだ、合田がいともフランクに誘いの口を掛けてきた。
 加納の鈴を張ったような杏仁型の双眸が放つ視線が、圧力となってひんやりとオレのツラを撫でてきた。断じるがノンフィクションだ。オレは顔面神経に冷気、いや凍気をハッキリと感じた。
「雄一郎、彼は?」
「外語で一緒の竹中。大事な時間割を落としてたんを、今届けてやってたんや」
「そう」
 どういう魔法だろう。合田の得意そうな手柄顔を見守る、何とも優しい清麗な笑顔から発せられた、ビロウドのように響きの柔らかな一声が、オレには“消えろ”と聞こえた。だが、いとやんごとなくも切って捨てるその相槌に救われた、と言えたものか。
「いや、オレはも少し検討するわ。合田、サンキュな」
「あ、ああ」
 流れに乗って無難な謝絶に成功し、どうやらオレはこの恐ろしい只中を脱することが出来そうだった。
「ほんと、助かった。いつか礼をさせてくれ」
「ああ。じゃあな」
 最後に、惜しみなく零された合田の笑顔が鮮やか過ぎて、目の底に焼き付いたそれが、随分しばらくと勝手に瞼の裏に立ち現れ、オレはちょっと弱った。

 憧れと少しの嫉妬と。微かに苦くて甘い味わいを交えて、遠いその画像は、今でも呼び出し可能である。



                                                ◆おしまい◆
***************************************

女王~~~、教えてくれぇー! 教えてくれぇ-! 教えてくれぇ-!(こだま)
若き日の義兄弟が青春ロマンを満喫した、全タカムラー憧れのその大学は!!!
いったいどちらなんですかぁ~!!??(TロT)
タグ:大学時代
nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 4

コメントの受付は締め切りました
りく

竹中君かわいそう…。履修票拾ってもらっただけなのに。
彼はちゃんと卒業できたんでしょうか。

若き日の合田青年には後光がさしているようで、目がつぶれそうです(笑)
今からでも遅くないから、竹中君、合田君と仲良くしてあげて!
缶コーヒーを持ってダッシュしてください。お願いします。
でなきゃ、雄一郎の人生があの表面はきらきらしいけど、中がちょっと…
な「若様」一色になってしまう!!
男の仕事に人脈は大事だっていうのに、人脈作りの一歩目の
大学時代なのに、この若様ってば雄一郎の周りからいろいろ
排除していそうで(しかも本人が知らない間に)、
ものすごく恐ろしいですヨ。

大学は、どこなんでしょうねぇ。国公立なことだけは、多分確かだと
思いますけれど。合田君ちの経済状況から考えても。
先生が一言、赤門と言ってくだされば、こんなややこしいことには(苦笑)。
by りく (2012-02-13 00:38) 

げこ

りく様~\(^^@)/

めっきり全力で懐ききっていますv……はふはふはふ(パサパサパサ〃)←ウザ犬。

こいつ、捏造大学生“竹中”の皮かぶった、どっかの腐主婦ですから。
そもそも、このキラキラ大学に入るアタマなんか、持ってませんぜ!(爆)

若き日の合田青年はどーーしてこんなにプラスチック美青年? 軽いわ薄いわ!
一体どこで、マークス登場時の矜持とヒネクレと破壊力とオーラとを身につけて
来たんや。……だから大嘘だと……_| ̄|○ (神よ許し給え!)

だから、若様がコワイのも嘘八百です!(また開き直ってる~~^_^;)
でも不思議なんだよなぁ、こんなに引力絶大、人望膨大、立ってるだけで誘蛾灯な
お二人が、どうして知己が少ないのー。ありえなーい。
自分達で寄ってくる蛾、寄ってくる蛾、叩き落としてるだけじゃろが。(呆)

国公立……それも文系に限ってもかなりな数ありますからねぇ。絞りきらん。
でも、あちこちの大学にサークル、ネットサーフィンしてるだけで楽しかったです♪
天王寺高●も見てきました~! 制服がブレザーって一事が残念なりv(アホ)

赤門でもいいのになぁ…… ねぇ? ほんとに。

それにしても、お目汚しのお粗末さまでしたっ(>_<) 猛省中。

by げこ (2012-02-13 01:09) 

青子

明るく光輝くばかりの大学生、合田雄一郎。
あまりの眩さにへたり込みそうです~~~^^

こんなキラキラした大学生の10数年後を思うと、ただただ
泣くしか・・・><

雄一郎の爽やかさと対照的な、祐介の腹黒さ!がたまりませ~んっ(笑)
この先の人生の為にも、友人は選ぼうね、合田君^^
とか言いながら、

二人で教務課に行った後、雄一郎の稽古が終わるのを
図書館で待つ祐介。
大学近くの商店街で夕飯の買い物して、神田川アパートへ
行ってくれると、嬉しいな~
わざと終電逃した祐介が泊まったりすると尚、いいな~

なんて思っちゃう私。ごめんね、合田君っ!
是非、大学生シリーズも^^?



by 青子 (2012-02-13 16:14) 

げこ

青子さま~(´∀`)

合田さんに関しては、こんなの違う、合田さんじゃない!と、セルフ検閲が
めっちゃキビシイので、実はすっごく書きづらいんですが、
(↑こんな好き放題めちゃくそ書いといて何ホザく!ですが……T_T)
義兄に関しては、どんな人でなしでも変態でも狼藉者でも、イケイケじゃんじゃん!!
なもんで、ペンが無責任かつ乱暴に走る走る(マンガではさらナリ!^▽^;)

ブラシ(ペンタブ筆ですよ、筆!)で舐め回すよーに描くマンガやイラストは、
合田さんを描いてて、そりゃー幸福の恍惚なんですが、
作文をウンウン呻りながら書いてる時は、義兄書いてるほうが楽し~い♪

で、調子に乗っていると祐介がどんどん酷いことに……(>_<)
ニセ祐介、御自ら虫除け威力を発揮しつつ、誘蛾灯=合田さんに寄ってくる
虫ドモを片っ端から駆除してますよねー。
普通の友人関係なら、善き友との交友は歓迎すべしだし、第三者排除なんか
しませんよねー。第三者をウザがるところから、人倫を外れて行くんだ-。

もちろん、ホンモノの義兄はそんなこと全然ないわ!
稀少なお気に入りの根来さんに、義弟を紹介したがったの、義兄だもん!
お眼鏡にかなえば、ちゃんと混ぜてあげるんだもん。
でも根来さん、知己になった途端消えちゃったけど……(滝涙)

合田青年、気が付いたら、私とより長女との年齢差のが小さいわ!!_| ̄|○
……ちょっと再起不能かも(爆)

武道場で、文庫本の影からじ~~っと稽古見てるんでもいいな~v
ちょっと色めき立つ女剣士たち(ほほほほ、君達全員アウトof眼中よ♪)
帰途、居酒屋などへは沈没せず、ボロいスーパーでお買い物v
「それレギュラーやろ」「インスタントより旨いぞ。俺、淹れてやるよ」
気が付いたら、コンロ1つの狭い流しに色んな物が増えている~ん♪
客用布団あるのか? たまにはママが掃除洗濯に来るのか?
無ければ、冬用と夏用とコタツ掛けまで総動員して、半分こして寝ろ義兄!
そんで、隣の寝息に悶絶しろ~~~! ざまぁみろ!! ……(・_・、)泣

し、シリーズですか、神田川編も(^_^;)
元本にする原作テキストが全然ないのに…… もはやパラレル(^皿^;)
by げこ (2012-02-14 00:13) 

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。