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バレンタイン狂想曲 [捏造◆作文]

なんと一両日で、グレていたのが復活しました。
またいきなり降ってきまして……ロクでもないネタですが!(^_^;)

私の場合、風呂に浸かって茹だりながらグッタリしてる時に良く湧くんですが
  (だから風呂ネタが多い? いやいやいや…)
これはいきなり、パソコンの前に座って電源入れたら降ってきました。
きっと、ウチの腐れ雄一郎が糸を引いていると思われます。
  (パチモンやから、「合田さん」なんて丁寧に呼んだらん!)

今日この日のハナシなんで、もう校正なし、打ち上がりそのまんま
ぶっ込みます!
あとでコソコソと、気付いた端からチョコチョコ直すと思いますが、
どうぞスルーしてやってください(o_ _)o

こんなネタ、上げちゃったんで、世間のバレンタインは終わりですが、
今週いっぱいぐらい、このテンプレでいようかと思いますv

それにしても……、ああ、恥ずかしいよ俺!(>_<) 砂吐きそう……[たらーっ(汗)]
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 すっかり照明の減った運河を背景に、そそり立つ建物に点った灯りが、導きの燈台に見えた。
 我が身の燃料計の針はすでにEより下に振れ、車体を傾けてタンクの底に残ったガスでようやく最後の数歩を進めている、といったところ。あ…と……、階段を………5階まで。幾つまで、俺はこの階を昇れるのかな、と考える。
 それから、温かな部屋をイメージする。祐介が待っている。その部屋を。

「お帰り、雄一郎………わっ!」
 ドアを開けてくれた祐介に、全体重を掛けてのし掛かる。同じだけ上背がある相手は、こうした時にも好都合至極。
「こらっ、靴を脱げ、く…つ――、んっ…」
 そら無理な話や。俺の燃料は完全に底をついた。もう一滴もない。
 最後の息で、祐介の舌を吸う。はぁ……、帰って来たぁー。
 ぐらあり、と天地が回るが、祐介はどんな無体を働く相手でも、遭難者を振り払うような非情はしない。
 これだな。安心して己の始末を投げ出してしまえるものだから、最後の保険の燃料まで使い切ってしまう。良い歳をして、無軌道が少しは直ってきたかと思うと、あに図らんやそうでもないのは、恐らくはこのせいだ。
 ――というワケで、俺はまたもや家庭内行路遭難者を決め込んだ。あとは頼む。
「雄・一・郎っ!!!」
 すぐそばから耳に心地良い声音で落ちる雷を聞き流し、俺はうっとりと喪心の底へ舞い降りて行った。



 記憶を手繰れば丸一日半以上、俺は何も食っていなかった。というか、最後の食事が思い出せない。この状態で、寝足りるまで思う存分眠るのは、たいへん危険な所行だった。分かってはいたのだが……
 ――あかん。完全に低血糖や。
 ブラックアウト寸前の頭に判断力とか予想とか、働くわけがないではないか。思考が生きとったら、そもそも灼け落ちたりなんかしとらんわ。
 寝床の中でぽかりと目が開いたはいいが、全身が鉄で出来ているようで、重くて腕も上がらない。どころか、指もろくに動かせない。この状態で無理に布団から出ると、床で凍えてホンモノの行き倒れになってしまう。それは避けたい。
「祐介~……」
 助かった、何とか声は出た。が、もうとっくに起き出しているらしい隣室まで届くか?
「祐介……、助けてくれ」
 待つことしばし。襖がからりと開いたが、祐介は部屋へ入っては来ないで、柱にもたれて腕を組んだ。綺麗に整った白面は、全き無表情だと綻びがないだけに内面が欠片も読めず、誠にもって恐ろしい。じろりと眺め下ろしてくる双眸は、刑事もビビる迫力満点だ。……お、怒ってる?
「祐介、頼む。何でもいいから酒………か、飲み物」
「………」
 俺の情けないざまに氷のような一瞥を撫で付け、祐介はくるりと踵を返して出て行った。
 はぁ~……と、布団の陰で溜まっていた息を吐き出す。こ、怖かった。昨晩、そんなに悪いことしたかな、俺?
 飛び飛びで朦朧とした脳裏の画像を、出来るだけ走査しようと試みていると、台所で何やらガタガタしていた祐介が戻ってきた。手に湯気の立つマグカップを持っているのを見て、有り難い…これで動ける、と思ったが、祐介は助け起こしてもくれないで、自分がそのカップを呷った。
 ――え…っ?
 流れるような動作で素早くその顔が頭上に迫り、あっと思う間もなく口が口に被さって来たかと思うと、
「ぐ……ぅっ…!」
 な、なんじゃこりゃーーっ!!?
 どろりと口中に、とんでもない甘さの熱い液体が流れ込んできた。う、うええええ~~~っ! 
 予想外の打撃に俺が口許を抑えて身を捩っていると、その隙にさっとマグを呷った祐介の第二波攻撃が襲ってきた。うぎゃあああぁ!
 蒼白になって喘ぐ俺を見下ろし、優しい笑顔を張り付けた祐介が、低く透る甘い声でひやりと告げた。
「低血糖にはチョコレート。山でもよく食ったろ」
 いや、……あれはこれほどまでの濃度と分量では――、
 うっわぁ~~~っ、何回飲ますんだ! まさか、そのでかいマグ、全部チョコレートか!?
 もはや涙目の俺に、しんねりと恨めしげな流し目をくれ、さらに祐介の糾弾が続いた。
「いくら並外れた非常識を誇るお前でも、昨日が何の日かくらい分かってるよな。あれだけ者みな浮かれ騒ぐ国民的行事なんだし?」
「昨日……って、2月…」
 思い出してくるうちに、背筋がぞぉーーっと凍ってきた。2月14日それは、その実在すら怪しまれている聖人、バレンタインの祭日。つまりは――
「そう。検察といえど“会社”組織。男性“社員”の机はいまだに義理チョコという招かれざる進物で埋まるんだ、有り難いことに」
 こ、このマグの中身……!
「ああ、その通り。もうそうそう山にも行けないしな。普段は俺も食わないし。一体どうしたものかと思いあぐねていたんだが、雄一郎のおかげで有効活用が叶って助かったよ」
 見るもあでやかににっこりと頬笑み、祐介は、昨夜の俺の仕打ちへのリベンジと遭難者のレスキューという一石二鳥に取りかかった。
 ゆ、許してくれ、俺が悪かった――。
 昼下がりの喪心は、昨夜のそれほど優しいものではなかった。
 ココア色のねっとりと熱い泥流に、無力に押し流される己をありありと想起しつつ、俺は恵み深い溶暗に身を委ね――ようとした。のだが。

「雄一郎?」
 ……どうやら、昨夜の俺は、たまに引っ剥がす祐介の逆鱗ってやつを、思いっきりやらかしたらしい。しかも、剥がした跡にはご丁寧に、祐介の過保護バージョン/サドバージョン切り替えスイッチでも仕込んであったと見える。あっさりと気絶して逃亡するなど、許して貰えなかった俺だった。
「どうだ、もう動けそうか? それは良かったな」
 眩しい午後の陽射しを背負って、お迎えの天使かと見紛うような麗しく晴れやかな笑顔でベッドを見下ろす祐介のその手には、今度は大振りなグラスが掲げられていた。
 な、何――?
 まん丸に見開いた俺の目の中には、さぞかし飽和量の怯えが詰まっていたことだろう。覗き込んだ祐介の目が、にょっきりと爪を出した大型猫科猛獣の琥珀色を帯びて、満足げに細められた。
「義理チョコの処分は出来たが、俺の分はまだ受け取って貰えてないぞ。――まさか、要らんとは言うまい?」
「あ、あ……」
 こんなに甘くて恐ろしい祐介のキスは初めてだ。まだ続きがあったのか……、と思った俺は、見通しがとことん甘かった。続きではなく、これからが本番、だったのだ。

「ん……、んぅ…っ」
 何杯目か、数えるのはとうに放棄したが、体中を回るアルコールの方は容赦などしてくれない。
 本命チョコで名高い欧州ブランドのチョコレートリキュール。とろりと甘く濃厚なそれが、どんどん喉に流し込まれる。比例して、俺の息は上がり、脈も刻々と逸り続ける。
「こ、こんな……、粗略に扱って、ええもん……なんか…?」
「もちろん、本来はカクテルのベースに使うものだ。ロックでも行けるそうだがな。話のタネに一緒に色々試そうと、ゆうべはお前を待ってたのに………」
 ふて腐れて酒精に濡れた唇を尖らせ、目線を落としてぶつぶつ言う。さっきまであんなに怖かった祐介が、いきなり無っ茶苦茶、か、可愛くないか、おい。
 こんなに素直に恨み言を捻り付けるだけ、祐介も酔いが回って来ているのだろう。日頃に似合わぬヤケじみた乱暴な動作でグラスを呷り、また唇を重ねて来た。ああ……、天井が回る。
「ごめん、祐介……」
 俺も相当酔っ払って来ていたに違いない。頭の中に並べるより先に、いいだけ緩んだ口から言葉が零れ落ちていた。
「ごめんな、祐介。本当に申し訳ない」
「アホウ!」
 一声咆えて、祐介が覆い被さって来た。目が覚めて以来初めての、ドーピングなしのシンプルな口づけだったわけだが、これが一番効いたのは当たり前の当然か。
 日頃は飲んだこともない甘ったるい酒に二人してぐでんぐでんに酔っ払い、ついでに祐介の稀に見るような可愛さ、いとおしさに酔っ払い。リキュールよりも甘く濃厚な、いつ果てるとも分からぬ口づけに、手放しで思い切り溺れ込んだ。


 ――カカオは元来は媚薬であったというから、あながち今の世にも効能は活きていた、のかもしれない。

 サンキュー、バレンタイン。では、おやすみなさい。


                                         ◆死ぬまでやってろ!◆
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復活したらしたで、またグレたくなった~~~!!ヽ(#゜Д゜)ノ
  ……不毛すぎる……orz(ザ~ッ)←グラニュー糖の山作る音
タグ:八潮 蜜月期
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